展示概要
20世紀半ばにベンヤミンが絶筆『歴史哲学テーゼ』に託したのは、天使が過去の瓦礫を積み上げながら否応なしに突風に舞い上がり、未来の方向へ押し流される救済のイメージでしたが、21世紀のはじまりにバウマンが遺作「Retropia」で記したのは、歴史の天使は、未来の方向に翻りつつあり、未来の地獄から過去の楽園に向かって吹きつける強風に押し戻されるだろうという応答でした。
換言すれば、昨今の加速主義はうまくいかず、退歩するだろう人類の未来を思えば、画家が願い描くのは、未来から吹き荒れる強風を背中に浴びながら、幾ばくか壊れやすい過去をじっと見つめ、(過去からの突風を待ちながら)未来のほうへ後足で漸進する新しい天使=「青春レトロピア」にほかありません。
そんなわけで、そんな時代をともに歩きませんか。
はるか彼方から
僕の展示を
応援してくれる
思想家のみなさん
祈りに似たポエジーは、
祈りよりもポエジーよりもすぐれている。
シオランさん
carpe diem.
ホラティウスさん
ソクラテスさん「じゃあぼくたちは、
祭りのあとに来たというわけか」
プラトンさん(代筆)
作家略歴
■プロフィール/略歴 スズキナルヒロ
1990年静岡県生まれ。中央大学文学部哲学科卒業。
自画像作家。絵と文章をかくひと。
垂直性/水平性/ノスタルジー/アニマルが主題。
事後的な愛や青春が事前的に開示される作品群を制作中。
合言葉は「覆水を盆に返す」で、
作為的/独善的に時のちからを悪用し、
鑑賞者の(本当は実在しない)過去/歴史にあった
強い思考や強い感情を伝達することを目論んでいる。
2012 GEISAI#16 #17
2013 GEISAI#18 審査員賞ノミネート
2014 個展「感情のごたまぜ」@デザインフェスタギャラリー
2017 ゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校3期「完全なる仮説」展
2018 同 最終成果展 津田大介審査員特別賞
2020 個展「反復と回顧/愛と青春のごたまぜ」
@さくらテラス五反田
ひとは反復によって慰み、回顧によって救済されうる。
それが僕が青春において獲得した哲学的命題のひとつです。
都市の風景を見渡せば、コンビニや飲食店、公園、大学、夜行バス、街に溢れていた灰皿は撤去され、人目につかない場所でひとはタバコを吸うようになりました。それでも、駅前の喫煙所で紙タバコを吸う老若男女を眺めていると、彼らはその時間だけ存在が許されているような気がします。なにか他の理想に仕える禁欲的な自己否定ではなく、美的な自己形成を目指す点で、少なくとも現代文明で「火」を信仰している点で、彼らが好ましく思われるのです。古代の哲学者・ヘラクレイトスは、流動する世界の根源を「永遠に生き続ける火」だと言いましたが、僕も同様に、人間を人間足らしめるのは「火」、すなわち「魂」の発現だと考えています。プラトンの洞窟説を思い出せば、火がなければ「影」も「イデア」も存在しえないのです。古代中国の五行説によれば、万物は「火・水・木・金・土」からなると言いますが、愛すべき相補性の渦のなかで、<火>を信じ<火>を描く作家でありたいと僕は思うのです。最後にひとつ答えれば.ひとはなぜ生きるのか。
一緒に煙草を吸いながら、なにかを思い出せるのなら、
僕たちは十分に生きていると言えるのではないでしょうか。
開催概要
開催日程:2023年2月27日(月)~3月24日(金)
営業時間:PM19:00-AM0:00 日曜・祝日休み
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-9-3
ホテルロイヤルオーク1F 「Bar PEACE」さん
※展示を見に来られた方は、お店に入るときに
「展示を見に来ました」と声をおかけください。
よろしくお願いいたします。
展示を見に来られた方はワンドリンクオーダーお願いします。
最小金額 ドリンク800円+チャージ500円
協力: CHICA, GOTANDA GALLERY, Bar PEACE